土人形の研究一歩前進

土人形の研究一歩前進

広幡 2千を超える実測調査の結果で

米沢市広幡コミュニティセンターでこのほど。地域固有の土人形「成島人形」と「下小菅人形」の保存活動の一環として、昨年から進められてきた実測調査の結果が報告され、2種を判別する指標などが初めて示された。

保存活動は、地域の“宝”を後世に残していきたいと、広幡コミセンが中心となり平成26年3月にスタート。置賜民俗資料館=六郷西藤泉=学芸員の阿部宇洋さんら協力のもと、2種類のみを洗い出し資料にまとめる―という構想だった。

しかし、民芸品のため明確な定義がなく選別は難航。より多くのデータ収集が必要となり、昨年10月からは広幡地区に現存する土人形全ての実測調査に取り組んできた。

9月末までに約9割にあたるという53軒分2166体が終了。およその判断基準が整い広幡地区文化祭(10月24~30日)で阿部さんによる報告会が開かれ、結果が展示された。

阿部さんによると、成島人形は下塗りをせず直接絵付けしている、底部の仕上げが粗いといった大胆な仕様が特徴。一方下小菅人形は紫がかった艶のある独特な黒い塗料が使われているほか、顔の部分は繊細に描かれているのに対し、衣類などは相良人形に比べると雑に彩色されているという。

中には同じデザインの成島、下小菅、相良人形もあり、比較すると分かりやすいという。今後は名称や特徴、重量などを記載した資料を作成し、持ち主に贈るほか、広幡コミセンで管理していくという。

また、調査したうち、約200体は置賜民俗資料館に寄贈されており来年3月にはナセBAで展示を予定。その後は同資料館で保存していくという。

これまで県の博物館などでも成島、下小菅人形の分類はできてなかったといい、阿部さんは「地域の熱意で始まった地道な活動が学術的な進歩に繋がった」と話している。

米沢新聞 2016/11/5

PDF yonesin20161105